──“固定費”と“時間の価値”を見つめて
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🎯この記事でわかること(結論サマリー)
「15年目、走行20万kmのプリウスって、まだ乗れるん?」
「25万円の車検って妥当?それとも買い替えた方がええん?」
そんな疑問を持つ人に向けて、この記事では数字と実体験の両方から答えます。
Q1. 15年・20万kmを超えたプリウスはまだ乗れる?
→ はい。定期整備を続ければ 30〜35万km(あと10年) は十分に現役。
Q2. 車検費用25万円は高い?
→ 妥当。駆動系のオイルシール交換など延命整備が含まれるため、価値ある支出。
Q3. 年間コストはいくら?
→ 約30万円(月2.5万円)。新車ローンの半額以下で維持可能。
Q4. 買い替えとどっちが得?
→ 維持が合理的。税金や保険も安く、思い出という“無形資産”も残る。
💡結論:25万円の車検は「高くない」。
15年・20万kmを走ったプリウスは、まだまだ現役や。
この25万円は、“次の10年を走るための延命投資”やと思ってる。
月2.5万円で家族の歴史を積み重ねられるなら、
それは“出費”やなくて“投資”。
買い替えより維持が合理的。
1️⃣ 導入──25万円は、高いのか。安いのか。

ディーラーから受け取った見積書を見つめながら、何度も数字を見直した。
車検代、25万6489円──。
高いんか、安いんか。答えは、すぐには出てこなかった。
新車をローンで買えば、月に5〜6万円の支払いが待っている。
そう考えると、25万円はわずか4か月分や。
その金額で、この車は再び家族を乗せて走り出す。
15年前──。
長男が高校生、次男が小学生やった頃に迎えた我が家のプリウス。
ボディの艶は薄れ、小傷も増えた。
それでも、走行距離20万kmを超えた今も、ハンドルを握ると不思議と落ち着く。
シートに腰を下ろすと、家族の笑い声がまだ聞こえる気がする。
今回の車検総額──256,489円。
果たしてこれは「高い出費」なのか、それとも「家族の歴史をつなぐ投資」なのか。
2️⃣ 15年目プリウスにかかる”リアルな年間コスト”

感情を横に置いて、まずは数字の現実を見てみよう。
このプリウス(平成22年式/ZVW30型)にかかる年間実質コストは次の通りや。
| 項目 | 内容 | 年間コスト |
| 車検(整備・手数料含む) | 25.6万円/2年ごと | 128,000円 |
| 自動車税 | 13年超区分(1.8L) | 39,500円 |
| 任意保険 | 車両保険なし・50代想定 | 55,000円 |
| ガソリン代 | 実燃費22〜23km/L・年間1万km走行・1L=¥171 | 約76,000円 |
| 合計 | ✅ 約298,500円/年(=月 約24,900円) |
💬 月あたりにすると約2万5千円。
それが、このプリウスを走らせ続けるための“リアルな現実コスト”や。
安くはない。正直言うて、決して安くはない。
けれど──
「これからも安心して走り続けるためのコスト」
と考えれば、決して高くはないと思う。
3️⃣ “買い替え”か”継続”か──数字より大事な、家族の時間の価値

新しいプリウスを買えば、車両価格は300〜400万円。
ローンを組めば月5〜6万円の支払いが待ち、保険料も税金も上がる。
一方、今の愛車にかかる維持費は月2万5千円前後。ローンはもうない。
数字だけを見れば、答えは明白や。
「維持」>「買い替え」。
しかし──。
数字以上に大切なのは、この車が刻んできた時間なんやと思う。
長男の大学受験の朝。緊張した顔で助手席に座る姿を、今でも鮮明に覚えてる。
次男の部活帰り。汗の匂いがこもる車内で「お腹すいたー」って呟いた声。
そして──母を乗せて走った奈良の若草山。
ガンを患いながらも「きれいやねぇ」って笑った母の横顔。
助手席から見たあの景色を、母はどんな気持ちで眺めてたんやろ。
月2.5万円──。
それは単なる維持費やない。
“思い出を忘れないようにしてくれている”コストなんかもしれん。
この車には、たくさんの思い出が詰まってる。
子どもたちとの日々も、母との時間も、この車が見てきた。
思い出を乗せて走ってるんや。プリウスちゃんは。
4️⃣ 25万円の裏側:愛車を“あと10年走らせる”ための初期投資

最初は正直、こう思った。
「……え、25万円?ちょっと高ない? ぼったくられたんちゃうか?」
見積書を見た瞬間、心の中で軽くツッコミ入れてもうた。
でも、調べていくうちに分かってきたんや。
“必要な修理”って、派手やないけど、ちゃんと理由があるんやな。
総額内訳
- 整備+手数料:222,239円
- 法定費用(重量税・自賠責・印紙):34,250円
- 合計:256,489円(税込)
主な整備内容(今回の主因を強調💡)
- 24か月定期点検・完成検査:33,380円
- ブレーキ清掃・調整:13,730円
- エンジンオイル交換(0W-20):8,381円
- 補機バッテリー交換(12V・トヨタ純正):29,512円
- 冷却水交換(ハイブリッド冷却系含む):13,365円
- エアコンフィルター+洗浄:約11,500円
- 灯火類交換:約13,000円
- 🔧 フロントドライブシャフト・オイルシール交換:46,464円(今回の主因・延命整備の要)
「ドライブシャフト・オイルシール?」
最初は聞き慣れへん単語に首をかしげた。
車って、エンジンの力を“回転の棒(ドライブシャフト)”を通してタイヤに伝えて走るんやけど、
その棒の根元には”潤滑油(オイル)”が入ってて、
金属同士がこすれて壊れんようにしてる。
そのオイルが外に漏れんようにふさいでるのが、
”オイルシール(ゴムのフタ)”っちゅう部品。
15年・20万kmも走れば、熱や振動でそのゴムがカチカチに硬くなって、
ほんのすき間からオイルがじわ〜っとにじみ出してくる。
つまり──
どこかにぶつけたとかやなく、
人で言うたら「関節の潤滑油が減ってきた」ような自然な老化現象やったわけや。
整備士さんも丁寧に説明してくれた。
「このまま放っとくと駆動系全体の故障につながります。
オイル漏れがあると車検にも通りません。」
なるほど……これは“やるかどうか”じゃなく、“直さな通らん修理”やったんやな。
見た目は地味でも、車が動き続けるためには欠かせない部分。
いわば「血管を縫い直すような修理」や。
最初はぼったくられた気がしてモヤモヤしてたけど、
調べて理解したらスッと腑に落ちた。
25万円の中でも、この修理こそが最も価値ある投資やったと思う。
これでプリウスちゃんは、また安心して走れるようになった。
🧠 この章のまとめ
最初は「高い」と感じても、理由を知れば“納得できる整備”はある。
車も人も、年を重ねれば「見えない部分のケア」がいちばん大事。
僕もプリウスちゃんも、もうええ年や。
人間で言うたら、人間ドックで定期検診が必要な年齢。
今回のオイルシール交換も、言うたら大腸ポリープを取ったようなもんかもしれん。
放っといたら悪化して、あとで大ごとになる。
そう考えたら、“延命整備”って健康管理と同じやなぁと思った。
5️⃣ あと10年乗れるのか?──ZVW30型プリウスの寿命と整備計画

「あと10年も乗れるん?」
妻にそう聞かれて、僕はこう答えた。
「乗れるで。ちゃんと整備すれば。」
🚗 プリウスは“長生き”できる車
プリウス(ZVW30型/2010年式)は、もともと耐久性の高い車や。
きちんとメンテナンスを続ければ、”30〜35万km(あと10年)”は十分走れる。
🔍 走行距離と整備レベル
| メンテナンスのレベル | 想定寿命 | 備考 |
| 標準整備のみ(オイル・点検) | 25〜28万km | 一般的な寿命 |
| EGR清掃+冷却系点検を実施 | 30〜35万km | 長寿命車に多い |
| 大規模整備(HVバッテリー・ブレーキ交換) | 40万km超 | 実例あり(タクシーなど) |
💨 「EGR」って何?──排気ガスを再利用して走るしくみ
プリウスに「EGR(排気再循環システム)」という装置がついてる。
燃えた排気ガスの一部をもう一度吸い込んで、エンジンの温度を下げる仕組みや。
簡単に言うと、
“熱くなりすぎんように、ちょっと冷ました空気を混ぜる”という工夫。
🔥 EGRが“温度を下げる”理由とメリット
| 効果 | 内容 |
| 🌿 環境にやさしい | 有害ガス(NOx)を減らす |
| ⚙️ エンジンを守る | 高温による金属の劣化を防ぐ |
| 💰 燃費が安定する | ガソリンがムダに燃えにくい |
つまり、EGRは車の“体温を整える”装置みたいなもんや。
⚙️ EGRの「詰まり」対策
走行を重ねるごとに、EGRの通り道に煤(すす)やカーボンが溜まってくる。
放っとくと、
- アイドリングが不安定になる
- 燃費が悪化する
- エンジン音が大きくなる
といった症状が出る。
これは“壊れた”やなくて、“血管が詰まった”ようなもん。
2〜3年に1回、EGR清掃をすればスッキリする。
費用は2〜4万円ほど。
これだけでエンジンはかなり若返る。
🔋 「HVバッテリー」って何?
プリウスにはバッテリーが2つある。
| 種類 | 役割 | 電圧 | 寿命 | 価格 |
| ① HVバッテリー(ハイブリッド用) | モーターを動かす“走行用” | 約200V | 約10〜15年 | 10〜30万円前後 |
| ② 補機バッテリー(12V) | ライト・ナビなど“電装用” | 12V | 約3〜5年 | 約2〜3万円 |
⚡ HVバッテリー(走行用)
プリウスの心臓部とも言える部分。
エンジンとモーターが協力して走るとき、モーターを動かす電源がこれや。
- 発進時はモーターだけで走る
- ブレーキを踏むと発電して充電(回生ブレーキ)
- 坂道や加速時はエンジンと協力
寿命は10〜15年くらい。
交換すると20〜30万円かかるけど、
最近はリビルト(再生)バッテリーなら10万円台前半で交換できる。
🔋 補機バッテリー(12V)
これはライトやナビを動かす“家電用バッテリー”みたいなもん。
3〜5年ごとに交換が必要で、今回の車検で交換済み。
💡 まとめると
| チェックすべき2つのポイント | 内容 |
| EGR | 2〜3年ごとに清掃(約2〜4万円)でエンジン若返り |
| HVバッテリー | 寿命10〜15年/交換費10〜30万円(再生品なら半額) |
つまり──
これから10年プリウスちゃんを大切に乗り続けるなら、
この「EGR」と「HVバッテリー」を定期的に見ていくことがポイントや。
今は「10年経ったら買い替え」やなくて、
“整備すれば長く乗れる時代”になってる。
部品も情報も揃ってる。
手をかければ、車はちゃんと応えてくれる。
6️⃣ 思い出の走行記録──車が見てきた家族の15年

プリウスを迎えたのは、長男が高校1年、次男が小学6年のときやった。
それまではスパシオに乗ってた。
子どもたちが小さいころ、キャンプや遊園地、ハイキング……
あのスパシオには、家族の思い出がぎゅっと詰まってた。
でも10年が経って走行距離も10万kmを超え、
「そろそろ買い替えようかな」と思い始めた。
今思えば、ちょっと早かったかもしれへんけど、後悔はない。
次の候補はホンダ・フィットシャトルとトヨタ・プリウス。
どっちも評判のええ車やったけど、
プリウスには“ちょっと背伸びした高級感”があった。
静かで、未来的で、燃費も抜群。
当時の自分には少し贅沢な買い物やったけど、今思えば──
プリウスを選んだのは大正解やった。
ディーラーで見つけた展示落ちの新古車。
価格は約200万円。
納車の日、Keeperラボでダイヤモンドキーパーを施工してもらって、
ピカピカに輝くシルバーのボディを眺めながら思った。
「これから、よろしくな。相棒。」
その瞬間、頭の中に流れてきたのは忌野清志郎の『雨上がりの夜空に』。
古びても走り続ける車への愛を歌ったあの曲が、
まるでこの車と自分のこれからを象徴してるようやった。
それからの15年。
週末のドライブ、山道のハイキング、
ときどき夫婦ふたりで遠出もした。
京都の実家へ帰るときは、往復1000キロの長距離。
母を乗せて温泉や山道を走ったこともある。
今はなき母を知っている車やねん。
それだけやない。
この車には、“傷の記憶”もある。
外装には、長男が電柱にぶつけたときのへこみが残ってる。
あのときは正直ショックやったけど、今はもうええ思い出や。
「まぁ、もうええか。」
それも含めて、この車の“歴史”やな。
そしてもう一つ忘れられへん出来事。
数年前、昼間に山道を走ってたときや。
カーブの先の茂みから、突然大きな鹿が飛び出してきた。
避ける間もなく──ドカン!。
隣の妻が「わぁーっ!」と叫び、僕もハンドルを握りしめたまま動けへんかった。
鹿は倒れ込んだあと、しばらくして慌てて立ち上がり、
ふらつきながら森の奥へ走り去っていった。
ナンバープレートには、今もそのへこみが残ってる。
見るたびに思う。
「あの鹿、大丈夫やったかな……。」
傷だらけになりながらも、まだ走ってくれる。
ほんま、よう頑張ってくれてる相棒やと思う。
7️⃣ 四半世紀を目指して──プリウスちゃん、これからも一緒に

車検を終えたプリウスに乗り込み、エンジンをかける。
静かなハイブリッドの始動音が、今日も変わらず響く。
擦れたシート、少し色あせたダッシュボード。
それらはもう、“家族の風景の一部”になっている。
「ありがとうな、プリウスちゃん。」
ハンドルを撫でながら、思わずつぶやいた。
もしこのままあと10年乗れたら、
このプリウスと過ごす時間”四半世紀(25年)”になる。
15年間の通勤、旅行、そして数え切れない思い出──
そのすべてが、この一台に刻まれてる。
これからは妻とふたり、
ゆっくりと“第二の人生”をこの車と一緒に走っていきたい。
💬 あとがき
電柱のへこみも、鹿の傷も、いまでは“思い出のしるし”。
完璧やなくてええ。
一緒に焦って、一緒に笑って、歳を重ねてきたこの車を、
これからも大切に、最後のエンジン音を聞くその日まで乗っていこうと思う。
🚙 プリウスの真価(まとめ)
- 年間維持費:約30万円(月2.5万円)
- 今回の車検:256,489円(整備内容は妥当・適正)
- 想定寿命:あと10年/+10万〜12万km(30万km台)
- 結論:買い替えより維持が合理的。思い出という“無形資産”がある。
この車は、ただの移動手段やない。
家族の笑い声、沈黙、涙、旅先の風──
それらすべてを積み重ねてきた、“動くタイムカプセル”なんや。
そして──
愛情をかければ、車は必ず応えてくれる。
四半世紀を共に走るその日まで。
(完)
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